2017年7月13日

【第二部:躍進編】人材発掘  平成二十一年〜

 リーマン・ショック不況の影響は予想以上に大きく、売上高は対前年比で実に四十%減の三億三千万円まで落ち込み、前述の設備投資も加わり、平成二十一年(二〇〇九、第三十五期)の決算は純損失を計上する結果となった。

 

 しかし、翌平成二十二年(第三十六期)は、この設備投資効果と従業員全員の頑張りにより一気に四億九千万円まで売上を戻すことが叶い、いわゆるV字回復に成功した。

 

 全従業員の頑張りと書いたが、リーマン不況の中、いくつかのうれしいエピソードがある。一つは思わぬ人材発掘だ。仕事量が減ると否応にも人員過剰気味になり、従業員も心配し出す。あのころ、社内には気まずい雰囲気も正直あったと思う。

 

 その時、ある勉強会で拝聴した近江町市場の海鮮物屋さんの店主(社長)のひと言が気になった。それは、「店を改装しようと業者に見積りをとったらあまりの高値に驚いた。頭にきたから知人の大工を雇い入れ社員として改築工事をさせた」というものだった。

 

 当社では販売管理ソフトを委託製作して、ほしい情報が増えた場合、都度、追加修正費用を支払っていた。これらの金額もばかにならない。すると、従業員の中で過去にコンピュータソフト会社に勤めていた経歴を持つN君を思い出した。 体力面で若干劣る彼は、現場作業で苦しい場面もあったようだ。そこでN君に、「販売管理システムを更新したいのだが、君がプロデュースしてみないか」と持ちかけてみたところ、少し戸惑った顔をしたが、すぐに「やらせてください」と乗ってくれた。

 

 驚いたのは、彼の開発スピードと能力だ。半年くらいで、と考えていたものがわずか一カ月足らずで既存ソフトと同等以上の代物を完成させてくれた。おかげで事務の作業効率が大幅に改善された。それだけではなく、彼自身の現場経験を生かしてさらに使いやすくて生産性が向上する新ソフトの開発に向け、現場作業を掛け持ちしながら精力的に進行中だ。何よりうれしいのは、彼の眼が生き生きしていることだ。

 

 「人間にはさまざまな能力と可能性がある」ということを教えてくれた、私にとって忘れられない逸話だ。

 

オカダ合金ヒストリー

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