2017年7月13日

【第二部:躍進編】新技術研究=鋳造シミュレーション  平成十四年〜

 当社がリーマン・ショック不況前から取り組んできた新技術研究がある。それが鋳造シミュレーションだ。

 

 鋳造シミュレーションとは、IT技術を利用してコンピュータ上で仮想的な鋳物を作るソフトウエア技術のこと。一九六〇年代から研究・開発されていたが、3D化が実現したのは九〇年代以降であり、中小規模の鋳造企業では現在も完全普及に至っているとは言えない。

 

 この新しい技術研究をリードしてくれたのが石川県工業試験場だ。前述の通り、当社は金型鋳造とVプロセス鋳造という特異な鋳造方法をとっているため、湯口・湯道・押湯等の鋳造法案には制限があり、なおかつ型製作に大変な工数を要するため、一度製作した金型や木型の変更・修正が困難なのが難点である。事実、新規受注品の試作立上には、型修正〜鋳造を何度も繰り返すことがしばしばあった。
 石川県工業試験場とは、もちろん以前より親交はあったが、私が特に親しくお付き合いさせていただくようになったのは平成十四年(二〇〇二)六月、同試験場がリード役で県内の鉄・非鉄鋳造の業界組合加盟の若手社員たちと「鋳造研究会(ワーキンググループ)」を発足させ、先進企業訪問や勉強会等の活動を行ったことがきっかけであった。この時、中心となって牽引(けんいん)してくださった方が、同試験場機械金属部の藤井要氏である。当時、私もワーキンググループの世話人の一人として、藤井氏と何度も打ち合わせする機会があり、その力量と行動力に感心させられた。ワーキンググループの活動成果と氏の頑張りにより平成十七年九月、同試験場に初めて鋳造シミュレーション設備が導入され、翌十八年一月、ワーキンググループメンバー中心の「鋳造シミュレーション研究会」が発足した。

 

 先に触れたように、当社は試作立上に難点を抱えていたため、この新技術に強い興味と期待を感じ、積極的に参加させていただいた。特に当社では、魚野工場長が中心となって試験場へ何度も足を運び、操作方法や分析方法の技術指導の教えを請うたのである。

 

 その甲斐あって、さまざまな新規品立上に鋳造シミュレーションを活用し、本格的な型製作の前に最適な鋳造方案を見いだし、試作回数を大きく減少させることに成功。ついには平成二十二年六月、石川県中小企業イノベーション推進事業補助金交付の採択を得て自社導入するに至った。

 

 現在では、新規立上のほか、不良原因の調査やお客様への技術説明資料としても活用しており、力強い「戦力」となっている。

 

 本設備導入にお力添えをいただいた石川県商工労働部、また本技術のご指導・普及にご尽力いただいた石川県工業試験場、とりわけ藤井要氏には心より御礼申し上げます。

 

 

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