2017年7月13日

【第二部:躍進編】本当の教育  平成十八年〜

 私が社長になってから、毎年続けていることがある。

 

 それは研修(慰安)旅行だ。そういうと、当たり前のことのようだが、実は「お客様訪問」が主なのだ。我々は下請製造業だ。私や営業・幹部社員は、打ち合わせを兼ねてお客様の工場を見学させていただくことは何度もあるが、肝心の職人(従業員)たちは、ほとんど見学したことがない。お客様からの依頼品を実際に作っている者が、最終製品を知らないで本当に良いモノづくりができるのだろうか? そう考え、会社の行事として、好不況に関係なく毎年実行することに決めた。

 

 忙しい日中に大勢で押し掛け、お客様には大変ご迷惑をおかけして恐縮だが、さらに無理を言ってディスカッションの場を設けていただいている。お客様の商品の説明だけでなく、我々が供給させていただいている部品が、どのような箇所に装着され、どのような機能を持たされるのかを問い、お客様の生の声でご説明いただくのだ。

 

 実際、従業員は興味津津で見学し、自身が手掛けた仕事(部品)がお客様の機械や製品に装着されている実物の姿を見ると、皆が凝視し興奮しているのがわかる。

 

 見学終了後の食事(宴会)会場では、それぞれの席上で、今見てきた部品やお客様の話題で大盛り上がりになる。面白いことに、明くる日の工場内では、社内不良率が上昇する。悪いことのように聞こえるが、実は従業員各人が、その日製作した何となく自信が持てない出来映えのものを「この湯廻り具合ではダメだ」と自ら判断して不良品カゴに入れるのだ。言い換えれば、お客様見学を経て「目が肥えた(=レベルが上がった)」のだ。

 

 社内不良率が上昇し歩留りが少々悪くなっても、重大なクレーム発生は防げる。「百聞は一見に()かず」と言うが、まさにその通りだと思う。私が行う唯一の「社員教育」かもしれない。そして、何より従業員個々が自身で仕事の価値を発見できる良い機会だと思う。

 

 このことはお客様もよくご存じなのか、どのお客様も快く受け入れてくれます。大変良くしていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

オカダ合金ヒストリー

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