2025年10月2日

湯廻り不良

先日は、ブローホール(ガス欠陥)不良について触れました。
そして鋳造業界では、注湯は「静かに、早く」という格言があると紹介しました。
 
「静かに」は、乱流によるガス欠陥(ブローホール)を発生させないための教えです。
 
では、ブローホールを発生させないためには「静かに、ゆっくり」注湯すれば良いのでは…?と思うのですが
実はゆっくり過ぎると別の不良が現れるという厄介者の存在があります。
それが「湯廻り不良」です。
 
湯廻り不良とは、溶けた金属(アルミ溶湯)が型内の充填途中で固まってしまい、製品形状が完全に
成形されない(欠肉)状態のことを言います。
 
ですから、湯廻り不良を防ぐためには、ある程度の注湯スピードが必要になります。
そのため「早く」の言葉が加わり、「静かに、早く」という表現になるわけです。
※ただし、これは私自身の経験上の解釈です。
 
この相反する作業を同時に行わなければならないため、よくテレビなどで“職人技”や“熟練技”として
取り上げられることがあります。
 
確かにそうかもしれませんが、令和の現代において、その技術を習得するのに何年もかけたり
それに酔いしれている余裕はありません。
しかも、私たちのお客様が求めているのは常に安定した品質の工業部品であり、芸術品ではないのです。
 
最近、当社では、誰でも上手に注湯できる仕組み(仕掛け)を構築しようと、特に力を入れて研究しています。
詳しくは申し上げられませんが、「なんだ、こんなことか…?」と思えるようなことが、意外に効果を
発揮することを再認識させられる今日この頃です。
 
湯回り不良の参考写真

新着情報社長ブログ

お問い合わせ・ご相談はこちら

〒929-1121 石川県かほく市宇気い6番地

TEL:076-283-4222
/FAX:076-283-2544

受付時間:平日8:00~17:00

お問い合わせフォーム

pagetop