【第二部：躍進編】ふたたび世代交代　 平成十七年

　平成十七年（二〇〇五）十二月、ＩＳＯ１４００１の認証取得を機に、いよいよ石丸社長から私へと社長のバトンが渡された。

　社内の仕事とそこそこの営業経験を積んできた私だが、社長に就任してすぐ重大なことに気が付いた。

　社長の仕事が何たるかを全く知らないのだ。

　何しろ決算書もろくに見ることができないのだから、会社の方向性を左右する決断などできるわけがない。右に行くのか、左に行くのか、最終決断を迫られてもオドオドするだけで何もできない。このままではまずい。わからないなら自身で勉強するしかないと思い、まずは書店へ行き経営書を買いあさって読んでみた。それでもピンとこないため、金沢で開催されていたある後継者育成塾に参加してみた。ここで決算書の見方や経営理念・概念等について教えていただき、少しずつだがようやく理解することができ、いろいろな発見や考え方も変わっていったように思う。

　その後も自身で本を読んだり、セミナーに参加したりしているうちに、現在も顧問をしていただいている今村修税理士事務所の今村修先生や三村社会保険労務士事務所の三村正夫先生と出会い、｢ランチェスター経営戦略｣をすすめられ、一緒に勉強する機会をいただいた。

　これが私自身に見事にはまり、現在も勉強を継続している。とても奥が深く、かつ最も理解しやすい経営哲学と信じてやまない。

　もう一つ、平成十八年八月から半年間、石川県が主催する｢石川経営天書塾｣という後継者育成塾に参加する機会を得たことも、私にとっては幸運だった。こちらは県内企業の後継者（異業種）を対象に、少人数でケースディスカッションする新しい勉強スタイルで、毎回異なる業種の企業をケース教材として討論したり、県内有名企業の経営トップと直接質疑できる場もあって、受講生はもちろん講師や県職員の方々とも交流できる大変有意義な勉強会だ。

　私は二期生で、現在は七期生が受講しているが、毎年二月に行われる卒業生も交えた合同合宿セミナーには毎回出席（本講座も含めて皆勤）させていただいている。同期のメンバーはもちろん、たくさんの同年代・同境遇の面々との交流が良い刺激になっている。何事も｢継続は力なり｣、これが私の座右の銘だ。