【第二部：躍進編】現場力　 平成二十一年〜

　このような工場長や技術陣の頑張りもあって、前述の赤字覚悟の仕事を、今度は生産現場が品質向上と黒字化に向けて改善活動に取り組み始めた。｢雇用調整助成金等での休業はもうたくさん｣と、当社の現場作業者たちが燃えてくれた。

　金型鋳造は、特に新規立ち上げに手間取る。これを、このころから取り入れた鋳造シミュレーション効果もさることながら、いざでき上がった型で「料理（鋳造）」するのは、当社の職人（従業員）たちだ。まるで水を得た魚のように動き回る職人たちは、難形状で厳しい品質の代物を見事立ち上げ、納期に間に合わせた。その出来映えも含め、お客様から高評価をいただくことができた。この社員個々のスピリットが、私の自慢であり、当社の強みだ。