2017年7月13日

【第二部:躍進編】力強い右腕  平成十一年〜

 もう一つは、何と言っても魚野工場長の頑張りだ。
 私と同じ歳の彼は工業高校を卒業後、日本()(きん)金沢工場に就職。ラグビーで鍛えた体力と根性でみるみるうちに力量をつけ、若手のホープとして現場の牽引役になっていたそうだ。しかし、これまた不況が影響してか、平成十一年(一九九九)六月、日本冶金金沢工場が閉鎖されることになってしまった。彼の父親と寺島工場長(現顧問)とが知人関係という縁もあり、同年七月に当社へ入社となった。

 

 当時、私も後継者として将来に不安を抱える毎日だったが、彼の能力と力量を知るにつけ、私自身の刺激にもなっただけではなく、その存在が力強い助け舟となり、平成十四年十二月、私の社長就任と合わせて工場長に就任。今ではなくてはならない私の強力な右腕だ。

 

 彼は、設計技術としての能力も抜きん出て素晴らしく、「お客様が要望する高品質かつ難形状も真摯に受けとめ、どうやったらお客様の要望に応えられるか、我々の技術でできる方法を見つけ出し提案するのだ」という常日頃の私の口癖を素直に受け取めてくれた。リーマン不況の最中、私と寺島常務(現顧問)が赤字覚悟で獲得してきた案件に対しても、休日返上どころか連日、真夜中過ぎまで必死に図面と格闘する姿を見て、涙が止まらないほどうれしかったし、これ以上ない頼もしさを感じた。彼に対してはもちろん、奥様やご家族の方にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

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