2017年7月13日

【第三部:技術編】CAD・CAMの導入  平成四〜十九年

 金型鋳造をアピールし、売り込みをすすめる中で、コンピュータの壁にぶち当たった。

 

 当社の仕事は、顧客から提示される図面をもとに、金型鋳造するのに都合の良い素材図を描くことから始める。その素材図が取引先の要求する品質、性能、コストを満たしているとの承認を受けてから、正規見積、型製作に取りかかるわけだ。

 

 昭和年代まで鉛筆手書きで作図していたが、平成に入ってあるとき大手取引先で「手書きの図面は図面ではない。CADで書いてないと駄目だ」と言われ度肝を抜かれた。CADを翻訳すればコンピュータに支援された設計ではないか、簡単な部品なら鉛筆と紙の手書きで十分正確に、早く書くことができる。何も高価なコンピュータに支援してもらう必要はない。コンピュータかぶれの戯言(ざれごと)かと思った。

 

 今から二十年前、平成四年(一九九三)、手に入る一番安い六百万円のCADハード・ソフトシステムを購入した。CADが何たるかをよく知らないまま、大きくて重いディスプレーを抱えて自宅へ持ち帰り悪戦苦闘の日々が始まった。一年後、ソフトがバージョンアップしてやっと線の一本も書けるようになった。

 

 金型鋳造の生産量が順調に伸びて、外注に依存していた型の製作も多くなっていた。優秀な社内スタッフも充実してきたため、社内でも金型の製作を図ることとし、平成六、十七年に縦型マシニングセンターを導入、平成十九年には三次元CAD・CAMシステムを新たに導入して現在に至っている。

 

 目をつむれば、真新しい軽量鉄骨スレート張り十五坪の工場に、横型鋳造機一台と二〇〇キログラム溶解の小さな重油溶解炉の前に、一人立つ自分の姿が見える。あれから四十五年。岡田会長をはじめ諸先輩、従業員諸君、お客様大勢、そして協力会社や公共機関の指導、励まし、(しっ)()激励に導かれ、大きな失敗もなく今日に至っている。ただただ感謝する次第である。
 

オカダ合金ヒストリー

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