社員研修（失敗学⑥「偽のベテラン、真のベテラン」）

いよいよ失敗学の肝の章に入ります。
組織が成熟する過程で嫌でも必要になるのが「作業マニュアル」です。
高品質な製品(アルミ鋳物や加工)を効率的に作るには絶対必要なものです。

しかし、その良くできたマニュアル作成の経緯を知らぬまま、単にマニュアル通 り作業に没頭し続けた挙句、何かの拍子でトラブルが発生してしまう。
その際、何処にどう手を付ければ良いのか分らず迷走し被害が拡大してしまう… これが「偽のベテラン」です。

一方、真のベテランとは、例えば動いている仕組みを考える時、まず自分で観察 し、どんな動きを実現したいかという課題設定をする。
次に、観察した事実から要素を摘出し、その要素を組み合わせて全体構造を構築 する。それに従って作ったものを動かしてみる。その過程で様々な失敗を繰り返 しながら全体構造を作り直していく…自身の感覚と科学的根拠を探究し理解し た人こそ「真のベテラン」と言えるのだそうです。

うーん、深い！
茶道・剣道等の修行プロセス「守破離」に通じるメッセージにも聞こえます。
マニュアルは守、ただし、守(基本型)を軽視していきなり破(我流)を行っては大 失敗(大怪我)を招いてしまうでしょう。
先ずは「守」の段階で自ら思考することが重要。そのためにも今行っている仕事 (作業)そのものに強い関心を持つことが大前提です。
アルミ鋳造の「真のベテラン」を目指して、次回は課題解決の手法を学びます。